しばイッヌの日々

いち平民のライフログです。ひととなり詳細については『自己確認』をご参照ください。

来訪者―まっしろな熱の、その先に―(再録)

船はやがて、ひとつの惑星を座標に捉えた。

 

「間もなく、目的地点に到達します。正面のモニターに画像が切り替わりましたら、一同黙祷をお願いいたします」

 

アナウンスの後、船体が徐徐に速度を落としていき、止まった。



モニターに映し出された星は、なんとも言えない色彩に沈んでいて。

 

「総員、黙祷。」

 

合図で、一斉に視線が落とされた。



すすり泣く声がそこかしこから聞こえ出す。



「それではこれより、星雲連合代表から式辞が読み上げられます。皆様どうぞ、ご着席ください」




それは遙かな、過去の物語。





争いの絶えなかった星星のいくつかに、使命をおびた少年たちが舞い降りた。



あらそいを、とめよ



彼らは、太陽の化身。




灼け付くようなまばゆき白さで、星星を包み込んでいった。










その輝きに耐えかねて、姿を消してしまった星も少なくはなく。




また、残された星も、ただただ。




終わりまでの時を刻むしかなかった。







多くの命と、ふるさとと。




かけがえのないものが、失われ尽くした。





失われたものは、時間は、二度と元に戻ることはなかった。






愚かな轍を再び踏むことのないように。





彼らは、これからも、歴史を顧みる来訪を続けていくだろう。