しばイッヌの日々

いち平民のライフログです。ひととなり詳細については『自己確認』をご参照ください。

「ガラスの破片」(一日目・移稿)

※好ましくない不快な描写があるかもしれません。閲覧ご注意ください。











































じわじわと、何かに追い詰められているようだった。







最初の朝に見つけたものは。




血を吐いて横たわっている、野良猫の死体だった。


君が悪い光景に何かを直感して、すぐさま家族を呼んでから警察に連絡を入れた。


近隣で同じ事例が確認されなかったが、それが余計に恐怖心をあおってくる。

まるで、我が家をピンポイントで狙ってきたかのように。




『農薬入りの餌による中毒死』という見解だった。


しかしそれ以上に気になったのは。




点々と残る、既に黒ずんだ血反吐の跡の傍らに落ちていた、白いガラス片。



蛍光灯の一部であるという以外、指紋など犯人を見つける手がかりは見つけられなかったそうだ。






―気付いてすぐに、出てやればよかったな・・・そうしたら、助けられたかもしれないのに・・・



いつも、家の裏口に来て物欲しそうに鳴いては、餌をねだっていた野良猫の一匹だった。


人懐こい猫だったので、うち以外でも餌をもらっていたらしく、その晩は、いつもの時間になっても来なかったのだが。


家族みんながすっかり寝入ってしまっている夜遅くに、戸口をがりがりやる音と、か細い泣き声を聴いた記憶が、うっすらよみがえってくる。


―あのときに、助けを求めていたんだろうな・・・


眠気が勝ってしまったせいで、布団にもぐってそのまま、あの朝を迎えたのだった。