「そう遠くない未来に、君たちは選択を迫られるだろう」
「選択?それは、どのような・・・」
「君たちが『人類』を選ぶのか、『地球』を選ぶのか、というものだ」
彼はその答えを知っている。何故なら、彼ら―支配者たちは、未来の人類であるはずなのだから。
「答えは知っている。しかし、選択の余地がないわけではない。だから、あえて問いかけることにしたのだ」
僕の視線に気づいて、彼はそう続けた。
「われわれが存在している未来は、君たちとは繋がらない未来のはずだ・・・今は、そう信じるしかない。」
未来を変えるというパラドクスは、理論上存在し得ない。
未来を変えるということは、未来への進路を変え、異なる世界へ舵を切ることになる。
その時点で。
彼らの未来とわれわれの未来は異なる次元となる。
ないしは。
そもそも次元の異なる世界であったと言う結論となる。
いずれにしても、現時点でのわれわれの科学力では解明出来ない理論を展開しなくてはならない。
本来ならば、何もかもが、不可能な話なのだ。