しばイッヌの日々

いち平民のライフログです。ひととなり詳細については『自己確認』をご参照ください。

創作

第八文「ナシったら、ナシなんです」(移稿)

「ナシだよ、ナシ。ナンパと一目ぼれはありえないね」 弁当のおかずであるタマゴヤキを飲み下すと、そう言い切った。 「出会いの一つのきっかけだって思えばいいじゃん!そんなだからアンタ未だにまったく男っ気ないのよー!」 向かいに座る同僚、サキコが、…

“つなぐこと、つながること”

星の人人を守る任を与えられた精鋭部隊として。 彼らの大きな共通目標は勿論、“勝利を掴み取ること”で。 “この戦いに勝って、星の未来をつなぐこと”にある。 しかし、それだけでは、長くは持たないところもある。全てのものたちが、少なからず自身のものを何…

キャラクター覚書

自分用設定資料なのですが、上げ晒しておく方がイメージしやすいかなと思いましたので。 しかし一回データ飛んで(先代PC)なくしてるので、ゼロ以外名前含めてかなり変わってしまっているのでご了承願いたい(分からんて)。 ・回収屋稼業チームメンバー・ ゼロ…

第七文「過多」(移稿)

愚なる支配者とは、奴らを指すのか、われわれなのか、はたまた、新たに浮上する第三種の存在なのか? 進化への抵抗をあざ笑うように、眺めているだけとも言える。 進化への抵抗とは、奴らにとっての自滅を意味する。 自然淘汰を促す弱肉強食のルールを踏み外…

第七文「要らないメモ」(移稿)

ていうか。 カフェの店員にバッチリ覚えられるくらい通っていたって事だな、私。 しかもそれだけ通っていて、店員の事どころか、店名すら記憶にないってどんだけ社会に興味ないんだろう。そう考えると、ちょっと恥ずかしくなってきた。 ほどよくぬるくなって…

第六文「容器」(移稿)

「宇宙服は、宇宙船内や宇宙空間で作業をするために必要です。海へ潜る時に、ボンベをつけた潜水着を身に付けるのも同じことです。この理屈は分かりますね?」 「分かりますが、それとこの問題がどういう関係にあるのでしょうか?」 「魂や意識をそもそもの…

第六文「微妙な再会2」(移稿)

逆に真夏の炎天下も遠慮したいが。 ―しかしあんまり無気持ちいい陽気だと、まったり寛ぐを通り越して爆睡しそうだな・・・ 「わー・・・ここって見晴らしいいんだなぁ!向こうのビルより二階分フロアが高いだけなのに、景色違うなぁ・・・」 がたん、と隣に…

第五文「抵抗の痕跡」(移稿)

「死ぬつもりなんて全然ないんだけどさ。ああ、死ぬのが怖いってのも無いぜ」 そう言って彼は、両腕を僕の前に晒し出した。 そこには無数の傷痕が刻まれていた。彼の抵抗の証しなのだろう。つい最近つけたらしい生々しいものもあった。 所謂、リストカットと…

第五文「微妙な再会1」(移稿)

―あったまるなあ。 新作ベリーのラテをすすりながら、ふうう、と息を吐いた。 暦の上では春なんだけど、まだまだ3月は風が冷たくて肌寒い。 マフラーも手袋も手放せない。 ―ここの景色も、そんな悪くは無いんだけども。ああ、夜になったら、夜景を楽しむのに…

「とある小惑星にて」(再録)

それは、ある時偶然に、見つけたものだった。 そして今も、時折立ち寄ってみることがある。 原点に立ち返るため、とでも言えばいいだろうか。 それが、とある惑星の一部だということに気がついたのは、碑文を見つけたからだった。 自身の知りうる言語ではな…

第四文「騙し討つ」(移稿)

「結論から申し上げますと、実に簡単なことです。やつらを騙せばいいんですよ」 先生の助手をしていたという若い研究員は、振り返るなりこう言った。 「え・・・騙す??そんなことが出来るのですか?どうやって・・・いや。もとより、われわれを完全支配して…

「最終終着星」(移稿)

ぼろぼろの宇宙船が一機、とある惑星に向けての進路をとっていた。 「大気圏に入るぞ。総員、衝撃に備えろ」 予想以上にきしむ船体に、乗組員はいよいよと覚悟して待機する。 揺れは、かなり長い時間続いたように感じた。それほど、この船はひどくあちこち傷…

第四文「変化」(移稿)

また、僕自身も本が好きだと言うのもあり、同じ類の人を見つけると嬉しくなって、それだけでも親近感が沸く。書店にあるカフェにバイトを決めたのも、それが主な理由だ。 ここならば、帰りに幾つか物色してすぐに買えるし、書店の店員さんたちと親しくなれば…

第三文「ジレンマと疑問」(移稿)

自分は、操られているのではないか? という疑問を抱き始めてからの僕は、言い知れぬ不安におびえる・・・というよりは、妙なジレンマを感じていた。 だとしたら、どうすればいいのか。そもそも、誰が僕たちを操っているんだ? そして。 「やつらが僕の疑問…

第三文「きっかけ」(移稿)

試験休みに入って最初のバイトの日、店長さんからしばらくの間だけ、土日の昼の数時間だけヘルプで入ってほしいと頼まれた。もちろん、その分平日に代休がもらえるという条件で。 特に予定も無かったし、夏休みの間に稼げるだけ稼いでおけるチャンスだとも思…

「咲かない花はない」(再録)

あの人は、そう、信じ続けていたけれど。 「今年も、蕾ごと落ちてしまいましたわ、ね」 まだ鮮やかに色づくそれを拾い上げて、短くため息をつく。 『彼らが咲くことを、諦めない限りそして、僕たちが、信じることを諦めない限り』 努力家の、彼らしい言葉だ…

「ようかいのせいだ!」(前編・移稿)

「ねぇ、パパ。最近あの子ったらね」 夕食をほおばっている夫に向かって、ふぅ、と大げさにため息をついてみせると、小学校に上がったばかりの一人息子の愚痴をこぼし始めた。 「どうかしたのかい?」 「パパがこの前買ってあげたゲームがあるでしょ?あれにも…

「ガラスの破片」(一日目・移稿)

※好ましくない不快な描写があるかもしれません。閲覧ご注意ください。 じわじわと、何かに追い詰められているようだった。 最初の朝に見つけたものは。 血を吐いて横たわっている、野良猫の死体だった。 君が悪い光景に何かを直感して、すぐさま家族を呼んで…

「夏の終わり」(再録)

あついあつい 夏は終わった いくつもの白い太陽が炸裂し 大地を赤く煮えたぎらせて あらゆるものを飲み干して いつしか空は 厚い雲に覆われて やがて雨が降り出した 毒のような色をした雨の矢が うねる大地に突き刺さっていくと みるみる闇に染めていった 冷…

第二文「気付き」(移稿)

かつて先生はこうも言っていた。 「むしろ気づくべきではない。しかし、私はもう気づいてしまったのだ。確証があるわけではないが、近々私は命を絶つかもしれないだろう」 「何故ですか?!こんなすばらしい功績をお持ちなのに??」 まるで予測しなかった言葉に…

第二文「面白くない男ですみません」(移稿)

ふぅぅぅぅぅ・・・。 今日何度目かの、深い溜息を吐いた。 視線を上げてカウンター越しに見つめるいつもの席に、やはり彼女の姿は無かった。 「・・・はぁ・・・」 「体調悪いの?」 うっかり声に出してしまった所為で、背後から店長さんがそう声を掛けてき…

「星空見上げて」(番外後編)(移稿)

そんな心配をしていると、電話が鳴った。 「ハルカ電話よー!部屋に切り替えようかー?」 「んー、おねがいしますー」 自室に電話を引き込んでいて良かったな。 しかし若干アナログタイプなのが面倒なのだけれども。 受話器をとり、再び叫ぶ。 「いいよー、…

「星空見上げて」(番外前編・移稿)

こないだは、皆既月食だったか。 週間天気予報で一週間雪マークがちらほらしていたので半ば諦めていたのだが、予定時刻になると、うっすら雲が晴れてきて、断続的だが見届けることが出来た。 今晩は、なんとか流星群が大量投下されるという。 ふたご座だった…

「喪失のあと」(移稿)

「記憶喪失には、主に二つの理由があるの。ひとつは、何らかの理由によって、記憶へとつながる糸が、断ち切られてしまっているもの。もうひとつは、記憶そのものが、なくなってしまっているもの 」 手繰る糸が残っていれば、修復は比較的容易いのだという。…

「約束の時間」(再録)

約束の場所へ。 彼女は、ついに来ることはなかった。 何故ならば。 あの朝、突然にやって来た、見知らぬ少年に。 跡形もなく、連れて行かれてしまったから。 『あなたの、せいよ』 すべての意識が繋がったとき、最初に、彼女が発したメッセージだったそれは…

第一文「淘汰」(移稿)

先生の言うことは、まるで意味がわからなかったが、衝撃的でもあった。 「何のために生きているのか、だって?そんなことで悩んでいるのは、一部の人間だけだよ。そしてそもそも、我々が生きている意味なんて無いのだよ。生きて いる意味を探していかないと…

第一文「つまらない女ですけど、何か?」(移稿)

どこにでもいる普通の・・・よりは、まぁ、多少地味めではあるかもしれない、小社の事務職。 ああでも、経理とか総務なんて、かっこいい仕事じゃないな。 庶務・・・ね。まぁ、そんなところだね。 週末のささやかな楽しみはといえば。 小洒落たカフェで文庫…

「そらに融ける日」(再録)

星の終わりの日が近づいていた。 彼は、今日も、空を見上げていた。 かつて、自分が降りてきた、空の上を、見つめていた。 彼がまだ、幼き少年であった頃。 あれからもう、700年という月日が流れていた。 それでも。 この星には、新たな主は生まれ育つことが…

来訪者―まっしろな熱の、その先に―(再録)

船はやがて、ひとつの惑星を座標に捉えた。 「間もなく、目的地点に到達します。正面のモニターに画像が切り替わりましたら、一同黙祷をお願いいたします」 アナウンスの後、船体が徐徐に速度を落としていき、止まった。 モニターに映し出された星は、なんと…

第一文「編む少女」

昼下がり。 ぼんやりとした意識のままで、公園をふらふらとしていた僕の足元に、やわらかいものがぶつかってきた。 ように、感じた、というほうが正しいだろうか。 それくらい、僕の心はこの場所に無かったのだった。 「あ・・・すみませんっ」 鈴音のような声…