しばイッヌの日々

いち平民のライフログです。ひととなり詳細については『自己確認』をご参照ください。

SF

「Festival de la fleur」(再掲)

大気圏に突入した機体が、徐々に高度を落としていくと。 雲間から、鮮やかな色彩が見えてくる。 「ここからの眺めも、綺麗でしょう?」 そういう彼の言葉どおり。 “花の惑星”は、やがてその全貌を、余すことなく披露した。 “Planete de la fleur” その名の通…

「遠い帰還」(改題・再録)

なぜ、帰ってはならないのだろう。 なぜ、誰も、喜びで迎え入れてはくれないのだろう。 どれほどの月日が流れたことか。 どれほどわたしが、ふるさとへの帰還を待ち焦がれたことか。 ながいながい、ときには自らの、生まれてから幼い日からの、遠い遠い記憶…

「発端」(地球未来編)(再録)

突如として、地球は謎の宇宙船団から無差別攻撃を受け、危機的状況となっていた。 先進各国の精鋭たちが、英知を尽くして極秘に進めてきたという、最先端のあらゆる手段を講じても、一向に歯が立たなかった。 もはや地球人類の滅亡も目前と、みなが諦観の境…

“つなぐこと、つながること”

星の人人を守る任を与えられた精鋭部隊として。 彼らの大きな共通目標は勿論、“勝利を掴み取ること”で。 “この戦いに勝って、星の未来をつなぐこと”にある。 しかし、それだけでは、長くは持たないところもある。全てのものたちが、少なからず自身のものを何…

キャラクター覚書

自分用設定資料なのですが、上げ晒しておく方がイメージしやすいかなと思いましたので。 しかし一回データ飛んで(先代PC)なくしてるので、ゼロ以外名前含めてかなり変わってしまっているのでご了承願いたい(分からんて)。 ・回収屋稼業チームメンバー・ ゼロ…

「とある小惑星にて」(再録)

それは、ある時偶然に、見つけたものだった。 そして今も、時折立ち寄ってみることがある。 原点に立ち返るため、とでも言えばいいだろうか。 それが、とある惑星の一部だということに気がついたのは、碑文を見つけたからだった。 自身の知りうる言語ではな…

第四文「騙し討つ」(移稿)

「結論から申し上げますと、実に簡単なことです。やつらを騙せばいいんですよ」 先生の助手をしていたという若い研究員は、振り返るなりこう言った。 「え・・・騙す??そんなことが出来るのですか?どうやって・・・いや。もとより、われわれを完全支配して…

「最終終着星」(移稿)

ぼろぼろの宇宙船が一機、とある惑星に向けての進路をとっていた。 「大気圏に入るぞ。総員、衝撃に備えろ」 予想以上にきしむ船体に、乗組員はいよいよと覚悟して待機する。 揺れは、かなり長い時間続いたように感じた。それほど、この船はひどくあちこち傷…

第三文「ジレンマと疑問」(移稿)

自分は、操られているのではないか? という疑問を抱き始めてからの僕は、言い知れぬ不安におびえる・・・というよりは、妙なジレンマを感じていた。 だとしたら、どうすればいいのか。そもそも、誰が僕たちを操っているんだ? そして。 「やつらが僕の疑問…

「咲かない花はない」(再録)

あの人は、そう、信じ続けていたけれど。 「今年も、蕾ごと落ちてしまいましたわ、ね」 まだ鮮やかに色づくそれを拾い上げて、短くため息をつく。 『彼らが咲くことを、諦めない限りそして、僕たちが、信じることを諦めない限り』 努力家の、彼らしい言葉だ…

「夏の終わり」(再録)

あついあつい 夏は終わった いくつもの白い太陽が炸裂し 大地を赤く煮えたぎらせて あらゆるものを飲み干して いつしか空は 厚い雲に覆われて やがて雨が降り出した 毒のような色をした雨の矢が うねる大地に突き刺さっていくと みるみる闇に染めていった 冷…

第二文「気付き」(移稿)

かつて先生はこうも言っていた。 「むしろ気づくべきではない。しかし、私はもう気づいてしまったのだ。確証があるわけではないが、近々私は命を絶つかもしれないだろう」 「何故ですか?!こんなすばらしい功績をお持ちなのに??」 まるで予測しなかった言葉に…

「約束の時間」(再録)

約束の場所へ。 彼女は、ついに来ることはなかった。 何故ならば。 あの朝、突然にやって来た、見知らぬ少年に。 跡形もなく、連れて行かれてしまったから。 『あなたの、せいよ』 すべての意識が繋がったとき、最初に、彼女が発したメッセージだったそれは…

第一文「淘汰」(移稿)

先生の言うことは、まるで意味がわからなかったが、衝撃的でもあった。 「何のために生きているのか、だって?そんなことで悩んでいるのは、一部の人間だけだよ。そしてそもそも、我々が生きている意味なんて無いのだよ。生きて いる意味を探していかないと…

「そらに融ける日」(再録)

星の終わりの日が近づいていた。 彼は、今日も、空を見上げていた。 かつて、自分が降りてきた、空の上を、見つめていた。 彼がまだ、幼き少年であった頃。 あれからもう、700年という月日が流れていた。 それでも。 この星には、新たな主は生まれ育つことが…

来訪者―まっしろな熱の、その先に―(再録)

船はやがて、ひとつの惑星を座標に捉えた。 「間もなく、目的地点に到達します。正面のモニターに画像が切り替わりましたら、一同黙祷をお願いいたします」 アナウンスの後、船体が徐徐に速度を落としていき、止まった。 モニターに映し出された星は、なんと…