「しかし、我々が干渉しているのは細胞レベル程度に留まります。それ以上のことはありません。遺伝子を操作して迎える結末の愚かさを、身を持って経験してきたのですから」
のっぺりとした顔は、穏やかというよりは表情が無いように見えた。
「あなた方は、このまま行くと地球人類どころか、この星そのものの未来が無いと仰いましたよね?だから、我々を操作しているのだと」
「ええ」
言葉にも抑揚はないため、相手の感情も思惑も読めない。
淡淡と理論展開していくしかないようだ。
先生の死の真相を突き詰めていく過程で、私は思いがけない人物とコンタクトをとることが出来た。
そう。
われわれが『支配者』と呼んでいたヤツらだ。
勿論、相手が自称するだけなので、その真偽は定かではないが。
とりあえず様子を伺いつつ、質問を続けていくことにした。