しばイッヌの日々

いち平民のライフログです。ひととなり詳細については『自己確認』をご参照ください。

礼讃詩(ひとつの伝説の終わり)

僕たちは 今 伝説を目の当たりにしていた

それは 遠く いにしえの昔話 などではなく

この瞬間にも

五感の全てを通して

真髄へと 訴えてくる

生々しい 現実の出来事であり

しっかりと 確実に

僕たちの中に 刻み込まれてゆく

ひとつの新たな伝説の始まりと

終わり と言えた

「これが、最期」

飛び発つ前にいつも

自身にいい含めているというこの言葉に込められた

“覚悟”は

立ち会った全てのものたちを

奮い立たせてきた

 

“あの日に戻れたら”

などと

懐古の弱音を吐くことも無く

かと言って

弱さを隠すこともしない

真っ向から対峙する そんな雄だった

 

見事な幕引きに

最期の幸を見たような

気がした

 

『この星に、育てられて、良かった』

 

(『夕映えの騎士の伝承』より)