しばイッヌの日々

いち平民のライフログです。ひととなり詳細については『自己確認』をご参照ください。

「Festival de la fleur」(再掲)

 大気圏に突入した機体が、徐々に高度を落としていくと。

 雲間から、鮮やかな色彩が見えてくる。


「ここからの眺めも、綺麗でしょう

 そういう彼の言葉どおり。

 花の惑星は、やがてその全貌を、余すことなく披露した。


Planete de la fleur


 その名の通りに。


「何て言うかニルヴァーナ、お前の故郷っぽいな」

 言って、黒尽くめの男が苦笑した。

 
「それは、褒め言葉と思っていいのかしら?ゼロ」

 きらびやかな装飾を散りばめた、けして目に優しくはない色彩のドレスは、彼が大げさなアクションをとるたびに、しゃらしゃらとにぎやかな音を立てる。


「まぁ、今日は、年に一度の復活祭なんだから。いつも以上にあでやかで、華やかで」

 
「要するに、ど派手にやらかしてるってことだろ?



 かつての戦争で、この惑星も壊滅的な被害を受けるが、奇跡的に蘇ることが出来た。

 それは、とあるひとりの研究者の執念と。


 この惑星自体の、生命力によるもので。


 灰色に凍りつき、黒く冷たい雨に打ちつけられ、色彩を失っていた大地は今や、見違えるほどの変貌を遂げている。

 
 以来、彼の功績と惑星の再起を喜ぶと共に、永久に平和な日々が続くことを祈念した祝祭が例年、執り行われるようになった。


「なぁ、ニルヴァーナよ、ところで」


「なぁに?


「ここの開拓者は、何でまたこんな花まみれの星造ろうなんて思い立ったんだ?


「そりゃ、決まってるじゃない」


?


「綺麗だからよ☆」


 まぶしい笑顔で、彼は清々しいくらいに言い切った。


 ゼロは呆気に取られてしばし言葉を失うも。


だな。」


きっと、こいつみたいな発想の奴が、造ったんだろうな。だから、この星の奴らはみんな、こんなにも陽気で、やってられるんだろうな


 不思議と疑いも持たず、納得してしまうのだった。


 花々で満たされたこの惑星は、美しい見た目は勿論、芳しい香りでも、ここを訪れるものたちを魅了する。


 当然ながら、この地で生まれ育つものはもれなく、この恩恵を受けられるのだから。


 喜びと安らぎに包まれる、格別のひひときは、繰り返し生み出される命に、受け継がれていく。

 

※『ゼロの航海日誌』より(2016.5.8.にpixivへ投稿したものです)

 

[あとがき]

お世話になった、あの方に。

お世話する方される方・・・こにゃにゃc(ry(色々古過ぎる

 

人生詰んだ時、いろいろなものに元気を貰ってきました。

何事にも依存することが嫌いで、そこそこほどよく距離を保ちつつ、付かず離れずで極力、自分ひとりでなんでも解決していきたい方なのですが。

一人でできることって、限界が早いんですよね☆微笑

そこで、ぼろぼろになりながらようやく、救いの手を伸ばすんです。

自分の場合は、ゲームでした。

フルタイムに仕事するようになってから、がっつりできるゲームは全然手を付けずにおりましたところ・・・深みに落ちたまま、しばらく這い上がれなくなりまして。

昨年まではほんまに悲惨な精神状態でした。

そのときは、ゲームではないものに、救っていただきました。

情熱の赤い人たちです。

そしてそれを取り巻く、熱くも温かい人たちです。

 

もう少し元気をつけてから、ご恩返しをいつかせねばと。

いまはそれを目標にしております。

 

ありがとうございましたぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

[余談と言いつつ本題]

本作品含めて支部に収納している(一部ブログに上げている)『ゼロの航海日誌』シリーズは、全てではありませんが、私が今住んでいる土地に関係するもの・出来事をモチーフにヒントを頂いて書いております。

当然ながら、情熱の赤い人たちも☆

まぁ、ネタバレしないように、かなり設定をイジッて分かりにくくしておりますが・・・ていうかSF仕立てという時点で無理矢理感がハンパないですが(汗)、これらを踏まえた上で再度読み返していただけると、新たな驚きと出会えるかもしれません(適当(コラ

 

ここまでお読みいただき有り難うございました☆

 

※ちなみに本作品とつながる話(過去軸)はこちらになります↓

shiba-i-nu-px.hatenablog.com